1.現代社会と健康 |
1.現代社会と健康 ア 知識 (ア)健康の考え方 ア) 国民の健康課題 【理解できるようにすること】 〇国民の健康課題は何か ・我が国の死亡率、受療率、平均寿命、健康寿命など各種の指標や疾病傾向の変化を通して理解 【触れるようにすることと】 〇がん、生活習慣病、感染症、精神疾患及び少子高齢社会における健康課題等があること。 イ) 健康の考え方と成り立ち 【理解できるようにすること】 〇個人や集団の健康についての考え方がどのように変化してきたか 例示)・疾病や症状の有無を重視する考え方 ・生活の質や生きがいを重視する健康の考え方 〇健康の成立に関わる具体的な要因にはどのようなものがあるか ・主体要因(免疫、遺伝、生活行動など) ・環境要因(自然、経済、文化、保健・医療サービスなど) ウ) 健康の保持増進のための適切な意思決定や行動選択と環境づくり 【理解できるようにすること】 〇ヘルスプロモーションの考え方とは 〇健康を保持増進するために重要なことは何か ・適切な意思決定や行動選択により、疾病等のリスクを軽減すること ・自らの健康を適切に管理すること ・環境づくりをすること 〇適切な意思決定や行動選択に関連する社会環境とは ・個人の知識、価値観、心理状態、及び人間関係など 〇健康を保持増進するための社会環境とは ・自然環境、及び政策や制度、地域活動など 【触れるようにすること】 〇適切な意思決定や行動選択をするための手順 情報収集⇒思考・判断⇒計画・評価 〇社会的な影響に適切に対処すること 〇一人一人が健康に関心をもち、健康に関する環境づくりに関わっていくこと ※ここでは概念的な理解を促すこととする。 (イ)現代の感染症と予防 【理解できるようにすること】 〇感染症の発生や流行の違いにはどのようなものがあるか ・時代や地域によって自然環境や社会環境の影響 〇現代の感染症の特徴 ・交通網の発達による短時間での広まり ・新興感染症(腸管出血性大腸菌(O157等)感染症など) ・再興感染症(結核など) 〇感染症のリスクを軽減し予防するための具体的な対策とは ・衛生的な環境整備や検疫、正しい情報の発信、予防接種の普及など社会的対策とともに、それ 〇エイズ及び性感染症の原因、及び予防のための個人の行動選択や社会の対策にはどのようなもの (ウ)生活習慣病の予防と回復 【理解できるようにすること】 〇生活習慣病のリスクを軽減し予防するために必要なことは何か 生活習慣病:がん、脳血管疾患、虚血性心疾患、高血圧症、脂質異常症、糖尿病 ・適切な運動、食事、休養及び睡眠等、調和のとれた健康的な生活を続けること。 ・定期的な健康診断やがん検診などを受診すること。 〇がんの原因として生活習慣以外にどのようなものがあるか がんの種類:肺がん、胃がん、大腸がんなど ・細菌やウィルスの感染 〇生活習慣病などの予防や回復に必要な社会的な対策とは ・個人の取組とともに、健康診断やがん検診の普及、正しい情報の発信など社会的対策 【適宜触れるようにすること】 〇がんの回復における治療法 ・手術療法、化学療法(抗がん剤など)、放射線療法など 〇患者や周囲の人々の生活の質を保つことや緩和ケアの重要性 【取り上げるよう配慮すること】 〇日常生活にスポーツを計画的に取り入れることの有効性 〇運動や食事について性差による将来の健康課題があること 《内容の取扱い》 ●食育の観点を踏まえつつ、健康的な生活習慣の形成に結び付くよう配慮する ●がんについても取り扱うものとする ●健康とスポーツの関連について取り扱うものとする (エ)喫煙、飲酒、薬物乱用と健康 ア) 喫煙、飲酒と健康 【理解できるようにすること】 〇飲酒や喫煙による健康への影響はどのようなものがあるか ・生活習慣病などの要因となり心身の健康を損ねる 〇飲酒や喫煙による健康課題を防止するための対策にはどのようなものがあるか ・正しい知識の普及、健全な価値観の育成など個人への働きかけ ・法的な整備も含めた社会環境への適切な対策 【触れるようにすること】 〇飲酒や喫煙の周囲の人々や胎児への影響 【適宜ふれるようにすること】 〇飲酒や喫煙の開始や継続の要因にはどのようなものがあるか ・好奇心、自分自身を大切にする気持ちの低下、周囲の人々の行動、マスメディアの影響、 イ) 薬物乱用と健康 【理解できるようにすること】 〇薬物の乱用を決して行ってはならないのはなぜか 薬物:コカイン、麻薬(MDMAなど)、覚醒剤、大麻 ・心身の健康、社会の安全などに対して深刻な影響を与える 〇薬物乱用を防止するための具体的な対策にはどのようなものがあるか ・正しい知識の普及、健全な価値観や規範意識の育成など個人への働きかけ ・法的な規制や行政的な対応など社会環境への対策 【適宜触れるようにすること】 〇危険ドラッグの問題があること 〇薬物乱用の開始の背景について ・自分の体を大切にする気持ちや社会の規範を守る意識の低下 ・周囲の人々からの誘い、断りにくい人間関係 ・インターネットを含む薬物を手に入れやすい環境 《内容の取扱い》 ●疾病との関連、社会への影響などについて総合的に取り扱う ●薬物については、麻薬、覚醒剤、大麻等を取り扱う (オ)精神疾患の予防と回復 ア) 精神疾患の特徴 【理解できるようにすること】 〇精神疾患とは何が原因でどういう状態になるか ・精神機能の基盤となる心理的、生物的、または社会的な機能の障害などが原因となり、認知、 〇精神疾患の特徴とは ・誰もがり患しうること、若年で発症する疾患が多いこと、適切な対処により回復し生活の質の 【触れるようにすること】 〇アルコール依存、薬物依存、ギャンブル依存 〇嗜癖行動の日常生活への悪影響 【適宜取り上げること】 〇うつ病、統合失調症、不安症、摂食障害など 《内容の取扱い》 ●大脳の機能、神経系及び内分泌系の機能について必要に応じて関連付けて扱う程度とする。 ●体ほぐし運動との関連を図るように配慮する。 イ)精神疾患への対処 【理解できるようにすること】 〇精神疾患の予防と回復に必要なことは何か ・身体の健康と同じく、適切な運動、食事、休養及び睡眠など、調和のとれた生活を実践 ・早期に心身の不調に気づくこと ・心身に起こった反応については体ほぐしの運動などのリラクゼーションの方法でストレスを 〇心身の不調時にはどのような状態になるか ・不安、抑うつ、焦燥、不眠などの精神活動の変化が、通常時より強く、持続的に生じる 〇回復の可能性を高める方法にはどのようなものがあるか ・心身の不調の早期発見と治療や支援の早期の開始 〇人々に期待すること ・精神疾患に対する正しい理解 ・偏見や差別の対象ではないこと 〇社会環境をどのように整えるか ・専門家への相談や早期治療を受けやすくする 【触れるようにすること】 〇自殺の背景には精神疾患が存在することもあること 〇できるだけ早期に専門家に支援を求めることが有効であること イ 思考力・判断力・表現力等 現代社会と健康に関わる事象や情報から課題を発見し、疾病等のリスクの軽減、生活の質の向上、 <例示> (課題発見) ・現代社会と健康における事象や情報などについて、健康に関わる原則や概念を基に整理したり、 (ア)健康の考え方 ・国民の健康課題について、我が国の健康水準の向上や疾病構造の変化に関するデータや資料に基 (イ)現代の感染症とその予防 ・感染症の発生や流行には時代や地域によって違いがみられることについて、事例を通して整理し、 (ウ)生活習慣病などの予防と回復 ・生活習慣病などの予防と回復について、習得した知識を基に自他の生活習慣や社会環境を分析し、 (エ)喫煙、飲酒、薬物乱用と健康 ・喫煙、飲酒、薬物乱用の防止について、我が国のこれまでの取組を個人への働きかけと社会環境へ (オ)精神疾患の予防と回復 ・精神疾患の予防と回復について、習得した知識を基に、心身の健康を保ち、不調に早く気付くため (表現力等) ・現代社会と健康について、自他や社会の課題の解決方法と、それを選択した理由などを話し合った |